1/25発売の「飛ぶ教室」に4ページの絵本を描いております。
特集は「わたしとともだち」です。

最初にこのテーマでお仕事のお話をいただいた時、大丈夫かな、と思いました。
友だちが少ない、というのもありますし、1人でも楽しいし、これは人選ミスなんじゃないか、とうっすら思いつつ、2つの案を考えました。

1つは、角井のこと。もう1つは虫のことです。
最初、編集者さんには角井のことを書いたプロットをお見せしたところ「いいですねー!これでいきましょう!」と快諾いただいたのですが、これはひょっとすると角井に怒られるかもしれない、と思い、虫の方のプロットもお見せし、角井に怒られるかもしれないし、虫の方がいいと思います、とお伝えしたところ、では虫の方でいきましょう、となりました。
心なしか角井のプロットの方が良かったような感触もありましたが、それはまたべつのお話、ということにします。
今、気づいたのですが、掲載号はなんと64号みたいなので、これはもう、虫で良かったと言わざるを得ないですね!よかった!
友情の素晴らしさについては僕以外の方がきっと素晴らしい筆をふるわれると思うので、僕はどちらかというと学校の休み時間に1人で過ごすような子のことを描いたつもりです。

前号の特集は「うそ」で、星野概念さんや加瀬健太郎さんも書かれていて、とっても面白いので、2冊あわせて皆さま是非!

と、本来ここで終われば良いのですが、角井の方の話も気になる、と言われたので、そちらの草稿もおまけで載せておきます。

「僕には20年近く仲の良い友達がいます。角井くんです。
角井くんとは絵の学校で一緒でした。最初の1年、角井くんはだれともしゃべりませんでした。
1年が経つ頃、集合写真を撮る時に角井くんがすこし変なポーズをしました。あ、この人、恥ずかしがり屋だけど面白い人なんだな、と思いました。
それから仲良くなりました。角井くんは僕が間違ったことをやったり言ったりすると、意外とはっきりと、それはよくないな、と言います。仲が良くてもうそをつかない人です。そういう人は本当の優しさを持っているのかもしれません。
そんな角井くんももちろん間違ったことをやったり言ったり、してきましたが、20年間の色々な失敗の話をお互い知っているので、今ではお酒を飲みながら話して大笑いすることができます。
それでもお互い、本当に今思い出しても恥ずかしい失敗はあるので、角井くんがその話をしようとすると、僕も角井くんの恥ずかしい話をしようとして、お互い、傷つくだけだからやめよう、となります。これをボクサーの動作に例えて「肩のフェイント」と僕らは呼んでいます。すこし難しく言うと「相互破壊確証」というものです。
恥ずかしいことや失敗を笑えるようになったのは角井くんが、友達とはいえ、だめなものはだめだ、と言ったからだと思います。そうすると僕も反省をして2度とやるものか、と思えたので、僕は失敗する前より、失敗した後の方がすこし良い感じになれたのだと思います。
そう考えると、僕は角井くんのだめなところが好きで、角井くんも僕のだめなところが好きなのかもしれません。友達とは案外そういうものだと思います。」