鎌倉の御成通りのビール屋さん「バナバサ」さんで伯父の泰介さんと展示をしております。

このご時世なので素直に「みんな来てね!」とは言えないのですが、会期も長いので、お買い物などのついでに思い出したらお寄りください。

僕は小さな絵を6点だしております。

ポストカードも販売中です。

月曜から土曜・・・12時〜20時

日曜・・・12時〜18時

会期は2020年8月15日までです。

今回は(あまりに絵が描けず)文章を考えてからそれを絵にする、というややこしい方法で描きました。

タイトルの下にその文章も添えました。

「春眠/熟水」


もしも冬眠できるなら
水の中がいい
寝ているから冷たさもあまり気にならない
春になって
だんだん水が温かくなってくる
2度寝したくなるだろうけれど
久しぶりに空気も吸いたい
空気を吸うと
日の当たった土と草の芽の匂いと
昼ごはんの匂いがしてくる
昼寝からさめたらきっと
子どものままだろう
「朝を作る」


ぼくはいまだに
暗くなると家に帰りたくなるので
夜明けは楽しみな気持ちになる
まず鳥が鳴きだす
大きな月がでたくらいの
白っぽい明るさが
すこしづつ強くなって
いつの間にか鳥の声が気にならなくなって
朝が完成する
鳥はその歌で
朝を作っている
ぼくはそれを眠れないまま聞き
もうすぐ起きないといけないと思いながら
ようやく眠くなる
「午睡」


窓ぎわは
光が1番明るくて
カーテンのせいかもしれないけれど
とにかく光がはいってくる
なのにちっとも部屋は明るくならない
窓ぎわだけがずっと明るい
どこからか
小さな果物の飴のにおいがしてくる
庭からなのか部屋からなのかわからない
部屋は瓶の中のような色になってきた
ガラスの、厚みのあるところの色だ
ソーダの味を思い出す

「日没/東の空の味」


夕暮れの色は
どんな色か見ようと思う間に
どんどん変わっていく
夢の中でここには前にも来たと思って
もう1度来れた嬉しさをおぼえたまま起きて
やっぱりそんなところには行ったことがなかったと気づく
でもどこかに懐かしい気持ちが残っている
記憶はこんなに簡単に作られている
夕暮れの色をおぼえようとするとき
夢の中で1度行ったことのある場所の
色を思い出そうとしている


「日没/西の空の味」


夕暮れの空に
グラスをかかげると
日没の空の色の
飲み物でグラスがみたされた
口にふくむと
最初はすこし暖かで、飲みこむころにはすこし冷たく感じる
後味は深呼吸をした時と似ていた
酔うかと思ったら
さきに眠くなった
きっとすこし夜がまじっていたのだろう
そうしてまた
夢の中でしかいけない場所と
夕暮れの色が重なっていく
「夜の散歩」


夜の蓮池に
月がでている
蓮の葉とその間から見える水面に
月の光が反射している
この光の上は歩けます
歩けるけれど
順序よく歩いて
たどりつくさきのことを考えると
すこし不穏な
ぼくにはまだすこしはやいような
そんな気がするので
見るだけにしておく
でもだれかが
順序よく
むこうから歩いてきたら
どこから来たのか
聞いてみよう